Jazz Guitarist Pat Martino music & sound

パット・マルティーノの革新的ジャズインプロビゼイション

 当初ギターの教師はパットの弦がよく切れるので、ピッキングを変える様に指示したのだが、納得できないパットはフィラデルフィアにライブコンサートに来ていたレス・ポールに助言を貰ったという。レス・ポールはパット・マルティーノに対して、そのスタイルはオリジナルであるので、そのままの演奏スタイルで変える必要は無い。と言った様である。

ここにパット・マルティーノの代名詞になっているマシンガンピッキングというか、速射砲の様に速く且つ力強い正確無比なピッキングタッチが完成された。

 ウェス・モンゴメリーのサムピッキングから奏でられるオクターブ奏法はピックを使用する一般的なピッキングタッチでは不可能とされる分厚いサウンドをパット・マルティーノは固く分厚いピックを使い、1弦が0.16から6弦が0.56という普通一般的には考えられないウルトラヘビーゲージで、0.16ゲージと云えば、普通は3弦当たりのゲージであるのだが、これを淀みなく一気に弾きまくる感じがする。アンプはローランドのジャズコーラスJC-120を使用しているが、デビューした当初は、信じられない事に、マーシャルアンプにギブソンレスポール1956年モデルをプラグインしていたとう。今でもセパレート(ビルトインアンプという意味では無くヘッドとキャビネットの意味)で、マーシャルのキャビネットを使用している。

 ウェス・モンゴメリーは恐らく黒人初の最も成功したギタリストではないか?

この問いには誰もが依存はないだろう。

 しかし成功したギタリストではあるが故にメインストリームジャズスタイルと

同様に認知されているが、アカデミックなギターでは白人のジャズギターの長いホリゾンタルなフレーズによるアドリブスタイルこそが、オーソドックスなジャズギタースタイルとされている事は言うまでもない。ウェス・モンゴメリーの魅力はハードバップに於ける黒人特有のリズムのり所謂グルーブ感であるだろう。

 ウェス・モンゴメリーの代名詞トレードマークであるとされるオクターブ奏法はウェス・モンゴメリー以前では、ジャンゴ・ラインハルトや女性ギタリストの草分け的存在のメリー・オズボーンは既にオクターブ奏法を使用していたのである。 ウェス・モンゴメリーのオリジナルテクニックはその延長線上にあるダブルオクターブ奏法である。 そして黒人特有のシンコペーション、タイム感による語法とそのダイナミックなアドリブに魅力が有りその力強さでホーンライクなソロプレイはホーンセクション、及びホーンプレイヤーに負けない存在感である。 ジャズに於いてのギターの立場の問題点としては、1960年の一枚のアルバムから始まったといえる。 ジャズの改革者トランペッタ―のマイルス・デイビスが発表したマイルス・デイビス本人の口癖(凄い皮肉家だ!)ソーホワット(邦訳 それが如何した)である。このアルバムはジャズ界初のモード奏法であるが、ギタリストはモード奏法には対応が遅れているといえるのだ。ウェス・モンゴメリーは1960年代にデビュー当時のパット・マルティーノと同じステージ上でセッションをし、年下の(当時はまだティーンエージャーの)パット・マルティーノから影響を受けたという、勿論パット・マルティーノはウェス・モンゴメリーのファンであったのでお互い相乗効果を発露したのではないのではないかと思われる。 黒人特有の語法を持つウェス・モンゴメリーと白人的なパット・マルティーノではその歌心は違うであろう。 パット・マルティーノは後にウェス・モンゴメリーのトリビユートアルバムを制作している事でも分かるとうりウェス・モンゴメリーの影響が大である。依ってウェス・モンゴメリーのナンバーではお互いの語法の違いが分かりずらくなってしまうし、モード奏法に対するアプローチが判り難くなってしまうのは意味が無いであろう。 依ってウェス・モンゴメリーとパット・マルティーノが自身以外のナンバーでお互いが演奏している共通のナンバーで比べるとするしか無いだろう!
 

そこで前途のマイルス・デイビスと並ぶ名曲、ジョン・コールトレインのインプレッションズがこれに該当するであると思われるのだ。

 最初はオリジナルのジョン・コールトレインのインプレッションズである。

 次にウェス・モンゴメリーのインプレッションズのライブであり次にスタジオ録音である。ここでは、ウェス・モンゴメリーはメロディーラインに

Ⅱ-Ⅴの経過音パッシングノートを加えたアドリブを展開している。

 しかしながらこのⅡ-Ⅴから脱皮していないと言えるであろう。

このスタジオライブアルバムは私が聞く限りに於いては、前記のライブ演奏とは少々違いよりモード奏法に近ずいているのが判るのではないだろうか。これは明らかにこのライブ以前のパット・マルティーノとのセッションで真面に影響を受けてしまったのではないだろうか!

 次にパット・マルティーノのギターであるがウェス・モンゴメリーの影響が見え隠れするがインプロビゼィションは明らかにモーダルである。このパット・マルティーノの出現によりモード奏法がギターの手法になったのである。モード奏法がギターのテクニックになったのはパット・マルティーノの出現を待たなければならなかったとも言えるだろう!

 それは例えば、マイナーコンバージョン、スケールアウト等であるが、ここまで行くと、ギターは他の楽器を凌駕してしまったといえるのである。

 最後のバージョンがスタジオ録音であるが、他はライブバージョンである。

 最近のパット・マルティーノは自身の造った前途の理論をも超越してしまったといえるのである。

 

 知る人ぞ知る!jazzguitarのカリスマ、ジャズギターの歴史上最も高い音楽性と最も優れた技術力で他のギタリストを圧倒しているギターマニアの間では、言わずと知れた、ギター界の神が尊敬する神が憧れるザ・メーカー、パット・マルティーノである。 この演奏では、元マイルス・デイビスバンドのギタリスト、ジョン・スコフィールド(マイルス・デイビスバンドでは、ガンガン弾きまくっていた彼が、全く弾けなく、指が動かないでいる様に見えるが、実際にはそんな事は無いとは思うのだが。)が圧倒されている様に見えるのである。どうもピッキングタッチがパット・マルティーノと比べると弱い気がする。とは言っても二人共私の所謂マイフェバッリツギタリストである。しかしながら見返して見ると、パット・マルティーノとジョン・スコフィールドとの徹底的に違うのは恐らくはリズムの乗り所謂グルーブであろう。パット・マルティーノの8分音符の止まる事が無い様なシームレスシングルノートラインフレーズでグルービィにそのエネルギーを放出するギターワークで、片や少したどたどしい様なつっかえる乗りで改めて聞いても全く次元が違う演奏スタイルであった。

改めて考えるとパット・マルティーノのギターワークはチャーリー・クリスチャン以来の伝統にうらずけられた演奏でチャーリー・クリスチャンと共通のリズムの乗りと言えるだろう。

 パット・マルティーノは上記のサニーに代表される様に、ウェス・モンゴメリーのナンバーをよく演奏するがレコーディングに於いても、フットプリンツ、トリビュートトゥーウェス・モンゴメリー等のアルバムを発表する程ウェス・モンゴメリーをリスペクトしているのが判るがギターを弾き始めた当初は、レス・ポール、ジョニースミスの影響下にあったのだが、パット・マルティーノの父親のミッキー・マルティーノ(アザラ)が同郷のギタリスト、ジャズギターの開祖エディ・ラングにギターを教わっていたというがこれが原点であろうと思われる。この事からも判る様にパット・マルティーノのギタースタイルは実に伝統に根ずいたスタイルと云えよう。

 ジョニー・スミスから影響を受けたと言われているパット・マルティーノであるがこのジョニー・スミスのラブフォーセイルに良く表れている。

 またこのグラント・グリーンの影響も感じられる。このEzz-Theticでも確認できる。

 前途の様にパット・マルティーノはレス・ポールに指導及び影響を受けている。この映像はレス・ポールとパット・マルティーノのギターディオである。

 師匠とお弟子さんの趣きがここには有る中々な感じで何か微笑ましい感じだ!

 パット・マルティーノの父親が同胞のギタリストであるエディ・ラングが好きだった事もあり、パット・マルティーノもその影響を受けているのだが!同様にエディ・ラングの影響を受けている偉大なギタリストであるジャンゴ・ラインハルトをリスペクトしている。

  KTS   最近のパット・マルティーノは使用ギターはベネッディットの自身のモデルを使用しているのだが、そのブリッジに使われているサドルはKTSのチタンサドルである。チタンと言えば、人に優しいメタルマテリアルでありアレルギー反応が無いメタルである。が、しかしながらギターのパーツとしてはここ最近は特に注目されており、パット・マルティーノもチタンサドルを使用している。このサウンドは音の立ち上がり特性が向上して、アタック音がより早くなる所謂トランジェント特性が向上して、線が太くなるのである。そしてそのトランジェント特性の向上と共にサスティーンが向上する事になる。チタンの特性としてはその質量と反比例している様な耐久性、優れた強度を誇っているのである。

KTS ホームページ

パット・マルティーノホームページ

 パット・マルティーノと言えば言わずと知れたそのウルトラヘビーゲージのギター弦でも有名でありそのゲージセットは0.16~0.58と言う恐ろしい程極太なゲージセットである。

 前途記述した通りにこのヘビーゲージにKTSのチタンサドルを使いPR-60setを使用している。

と言う事で、このパット・マルティーノのギター遍歴は最初はギブソンのレスポールカスタムモデル1957年以前の物と察するが、シングルコイルマイクの所謂ブラックビューティーであると思われる。この辺は彼のギター遍歴は、ジム・ホールと共通であるが、ジム・ホールはこのギターをハワード・ロバーツの所有するギブソンES-175恐らくは1957年製のフロント1発PAFマウントのギターとを交換スワップしている。パット・マルティーノも同様にプロデビューする時にギブソンES-175にスイッチしている。これはコンサートツアー中に盗まれている。このギター以前は、デビューアルバムで使用していたギブソンジョニー・スミスモデルを使ったのであるが、当時のパット・マルティーノはギターアンプにマーシャルアンプ3段積を使用していたが!このギターアンプは言わずと知れたハードロック、ヘビーメタル等での使用例で判る通りハイパワーでジャズで使われる所謂箱ギター、フルアコではハウリングが酷くライブ演奏ではほぼ不可能でありハウリングに強いES-175を選んだと言う訳である。この後ギブソンL-5CESに至のである。そして1970年代に入るとギブソン社が一つのプロトタイプのギターを製作して発売前にパット・マルティーノに渡している。私などはこのギターこそパット・マルティーノモデルの元祖であると思っているのだが!このギターはL5S言うなればL5CESのソリッドボディ化であるのだ。ソリッドボディである為にハウリングに強くレス・ポールの要望で作ろうとしたギターが音質が優れているが重たくて断念したプロダクトが!見直されて!レス・ポールに見いだされたギタリストであるこのパット・マルティーノが使う事になった。このギターはネック及びボディ共にメイプルで出来ており非常に重たいのであるが!このギターに前途のウルトラヘビーゲージの弦を張り、パット・マルティーノは見事にフルアコースティックギターサウンドを実現しているのである。理屈ではそれは可能であり、ソリッドボディとフルアコースティックギターのウッドマテリアルの質量比が同一であるならば、フルアコースティックギターに於ける箱鳴り所謂レゾナンスホールエコー以外は共通であり、その再現は可能であると言えるのである。その後はクーンツ、エイブ・リベラ、パーカー、そしてギブソンに戻り自身初のモデルであるパット・マルティーノモデルを使用しているが近年はベネッディットにghsのギター弦を使用している。

 ここではパット・マルティーノから影響を受けたギタリスト及びGIT(現在のMI)のギタリストを紹介したいと思います。

 言わずと知れたウェス・モンゴメリーのロードソングであるが、ここではパット・マルティーノとチャック・ローブ、ラッセル・マローン、マーク・ホイット・フィールド等ウェス・モンゴメリーをリスペクトしているメンバーである。

 ハワード・ロバーツがGIT(ギター・インスティテュート・テクノロジー)現在のMI(ミュージック・インスティテュート)を創立したのであるが全米からギターテクニックのスキルアップを極める為に!とその要望が多過ぎた為に講師を採用する為に!白羽の矢を立てたのがこのパット・マルティーノであった。

 しかしながら私が思うに、これはGITの始まる以前ではと思うのである。GITの創立が1977年であるが、パット・マルティーノが教えた(その後のジョー・ディオリオも)リー・リトナーは1976年にはソロデビューアルバムを世に出している。リトナーのバックでベースを担当している。アンソニー・ジャクソンはパット・マルティーノからジャズ理論を指導されている。ハワード・ロバーツがギターの教育に努めたのは1960年代後半でありこの時から恐らくはパット・マルティーノとは親交が有ったと思われる。

ジョー・ディオリオ、キャロル・ケイ等である。前途の様に1977年からGITは創設されたがこれは、私が思うにGITが法人化されたと言う事であろう!

 レッキング・クルー

1960年代のアメリカ音楽産業に於いてその腕で支えた超一流の凄腕スタジオセッションミュージシャンの集団が存在した!そうそうたるアーティストのバックを彼等は務めている!

 ナット・キング・コール

 フランク・シナトラ

 ナンシー・シナトラ

 モンキーズ

 バーズ

 ビーチ・ボーイズ等

 このレッキング・クルーのメンバーこそが1960年代のGIT創成期のメンバーである。当時ジャズ界ではエレクトリック化されゲーリー・バートンやマイルス・デイビスがこれにいち早くチャレンジしていたのであるが、アルバムにクレジットされていたのはフェンダー・ベースとされていたのだが、前途のキャロル・ケイが!彼女が1969年に出版した世界初のエレクトリック・ベースの教則本であるハウ・ツウ・プレイ・エレクトリック・ベースから音楽産業はフェンダー・ベースからエレクトリック・ベースに呼称を改めたのである。

GITの講師は以下の通りである。

ハワード・ロバーツ

パット・マルティーノ

トミー・ディオリオ

キャロル・ケイ

ロス・ボルトン

スコット・ヘンダーソン

フランク・ギャンバレ

デーン・ブラウン

アーレン・ハインズ

カール・バーヘイエン

 MI(GIT)の卒業生は以下の通りである。

1960年代後半

リー・リトナー

アンソニー・ジャクソン

このアンソニー・ジャクソンこそが、パット・マルティーノからジャズ理論の教えを受けたベーシストである。

また前途記述のキャロル・ケイの教則本を学んだベーシストはエイボラム・ラボリエル、ジャコ・パストリアル、スチュワート・ハム、ネイザン・イースト、スティング、ジョン・ポール・ジョーンズ

 等である。

 

1977年以降

スコット・ヘンダーソン

ポール・ギルバート

フランク・ギャンバレ

ジェフ・バックレイ

ジェニファー・バトゥン

ブライス・ソダ―バーグ(ベース)

チャド・スミス(ドラム)

ジョン・フルシアンテ

クリスティアン・ニーマン

ホアン・アルデレッテ(ベース)

河野充生(ベース)

菅原潤子

 

 


パット・マルティーノに影響を与えたギタリスト

エディ・ラング

ジャンゴ・ラインハルト

チャーリー・クリスチャン

レス・ポール

ジョニー・スミス

ウェス・モンゴメリー

グラント・グリーン

またパット・マルティーノの父親のミッキー・マルティーノは同胞フィラデルフィアのギタリストであるエディ・ラングからギターを習っている。

尚ギタリストではないが、ジョン・コールトレインからの影響は大きいと思われる

パット・マルティーノから影響を受けたギタリスト

ウェス・モンゴメリー

 この場合はセッションの時にお互いに刺激を与えあったのでありパット・マルティーノはウェス・モンゴメリーから多大なる影響を受けていたと思われる。

ジョン・マクラフリン

ラリー・コリエル

 この2人のギタリストは以前インタビューでこの様に言っていた「ジャズギターを弾くのにはパット・マルティーノみたいに弾きたいものだな!」

リー・リトナー

エミリー・レムラー

ジョン・スコフィールド

ダグ・レイニー

ビック・ジュリス

 彼こそがパット・マルティーノ奏法、ギターサウンドを自身の物とした数少ないギタリストであると言える。ギターストリングが1弦が0.15から始まるウルトラヘビーゲージであると記憶している。

ウルフ・ワケーニウス

 彼こそは正当な後継者と言えるのではないだろうか!

 パット・マルティーノのアルバムAll Sides Nowでは珍しく共演したギタリストがいる。

 マイク・スターン

 ジョー・サトリチアーニ

 ケビン・ユーバンクス

 タッグ・アンドレス

 マイケル・ヘッジス

 チャーリー・ハンター

そして大御所のレス・ポールである。